日産リーフは長距離ドライブに耐えられるのか? (1,700km の旅・前編)

数年ぶりの更新です。こんにちは。

11月某日、所用につき都内から愛媛・松山に行くイベントがありました。
飛行機や新幹線 + 在来線でいくのであれば、何ということもない旅なのですが、何を思ったのか車......しかも電気自動車で行くことを思い立ったのでした。

ということで、この記事は東京〜愛媛、往復 約1,700 [km] を、電気自動車・日産リーフで走ったよという内容です。

動機

大きくは2つです。

東京都では、この秋から「レンタカー・カーシェアリングにおけるZEV導入促進事業」というものを行っています。というのも、

2030年までに都内の乗用車新車販売台数に占めるZEV(電気自動車、燃料電池自動車など)の割合を5割とすることを目標としている

らしいです。大層な目標ですね。

i-MIEV から10年、リーフ (ZE0) から9年が経過し、どれくらい ZEV の環境が整ったのだろうか、本当に ZEV は使えるのか?
というのを検証してみたくなったのが1つ目です。

または、このロングドライブを試す数ヶ月前に、伊豆まで同じくリーフを借りて出かけた際に、EVの軽快な走りを体験していました。 この軽快な走りでどこまで行けるのだろう、というのをやってみたくなった、というのもありました。

今回の利用車両は、e-シェアモビで借りた、日産リーフ(ZE1)の40kWhモデルです。 借用時の走行距離は 2000 [km] 強だったので、バッテリーはそこまで弱っていなかったと思います。

f:id:yviscuit:20191102035711j:plain
岡崎SAで充電中の日産リーフ(ZE1)

行程

1日目の夜に東京を出発、2日目の昼に愛媛入り。所用を済ませた後、3日目に復路という行程です。
実質的には1泊2.5日みたいな感じですね。

行程は、

  • 高速道路・自動車専用道路が9割以上
  • 高速道路が通っていないところ(街中)のみ、一般道

という、ZEV には過酷なルートでした。

往路の充電計画

電気自動車での長距離走行の場合、充電計画を立てて走ることが重要ということをネット上で散見したため、今回は以下のポイントで充電する計画を立てて走りました。 想定電費を 6.5 [km/kWh] として、残り 50 [%] を切ったあたりで充電するというプランです。

実際には、5.5〜7.5 [km/kWh] の範囲内で 0.5 刻みで計算してプランを立てておき、2〜3回充電したタイミングで、実際の値に近いプランを選んで選択したという形です。

出発 〜 足柄SA

この区間はとにかく渋滞でした。
東名高速のリニューアル工事に伴う、昼夜連続・下り線左ルート閉鎖の影響でしょうか。 平均時速40 [km/h] 程度でしか走っておらず、とにかく進まない......

プロパイロットは 0 [km/h] から使えるので、この区間では比較的多用していました。
先行車に追従してハンドル・アクセル操作してくれるのは、渋滞の中ではとても便利でしたね。

100 [km] 強走って電費 6.7 [km/kWh] 表示。

数少ない充電器が2つあるスポットですが、2台共使用中だったので15分弱待ちました。
20分充電して、54 [%] → 81 [%] に。10.3[kWh] くらい充電できたようです。
スタート時こそ 36 [kWh/h] 程度で受電していたものの、すぐに 24 [kWh/h] 程度まで落ちていきました。
70%以降?とかでは出力制限がかかるらしいので、 このタイミングでの充電は、あまり効率は良くないですね・・・。 もう少し減らしてやるべきだったかも。

足柄SA 〜 清水PA

本当は静岡PAまで行くつもりだったのですが、想定以上に電池残量が減っていたので、ここで2回目の充電をすることに。

充電スペースにガソリン車が止まっていて、場所を空けてもらう交渉をしました。 EV利用者側からすると迷惑な話ですが、一方で混み合ってる駐車場で空間を開けたくないという気持ちもわからなくはないので、複雑な心情......

20分充電して、50 [%] → 82 [%] に。11.6 [kWh] くらい充電できたようです。
足柄同様、スタート時こそ 44 [kWh/h] 程度で受電していたものの、終盤は 24 [kWh/h] 程度まで落ちていきました。

帰ってから調べたのですが、この区間の距離が計算と合ってないです。 Google Maps や ドラぷら では58 [km] 程度ということになっているのですが、走行距離から計算すると 86 [km] 程度ある......

清水PA 〜 岡崎SA

新東名の 120 [km/h] 区間を含むエリアですが、大人しくプロパイロットを 90 [km/h] 程度で仕掛けて走ります。 というか、深夜だったのでトラックとバスばかりで、3車線全部トラックが横並びとかで走っていて、全然速度が出せない・・・。

30分フルに充電して、27 [%] → 80 [%] に。 19 [kWh] 位充電できました。 ここでの全力充電が仇となり、次の区間で苦しむ羽目に......。

この区間は、 147 [km] の計算に対し、走行距離が 120[km] と短いという現象が。

岡崎SA 〜 土山SA

長い長い静岡を抜け、愛知、三重を通り越し滋賀まで一気に、約 100 [km] 走りました。 鈴鹿PA に寄る予定でしたが、距離を走ってなかったのでスキップ。
ナビの地図が古いようで、新四日市JCT~亀山西JCTは認識していませんでした。
何も考えずにナビの言うとおりに行ったので、東名阪経由です。

このあたりですでに夜が明けてきています。

25分充電して、26 [%] → 61 [%] に。 12 [kWh] 位充電できました。28 [kWh/h] 程度で受電していた計算です。
思ったより充電できてないことに気づき、焦り始めます。
充電量が伸びない......温度か?と思い、電池温度を見たところ、10セグまで上昇していました。
実は岡崎SAでの充電後、すでに10セグまで上昇しており、そのことには気づいていたのですが、気温も低いし、走れば下がるかな?と楽観的に捉えていました。
外気温が11度ほどしかなく油断していましたが、どうやら寒くても、急速充電ではお構いなしにバッテリー温度は上がるようです。

f:id:yviscuit:20191102053005j:plain
バッテリー温度が......

土山SA 〜 桂川PA

充電速度が出なくなり焦ってきたところに、追い打ちをかけるように起きるアクシデントが。

立ち寄り予定だった草津PAの充電器が故障しており、利用不可能という事態に巻き込まれます。
草津PAの次に立ち寄る予定の西宮名塩SAまでは 110 [km] ほどあり、走り切れなくはなさそうですが、残りバッテリーを使い切りそうな距離です。
電欠が怖くなって、このあたりで全力のエコランを始めます。

この日は、京滋バイパスが夜間連続工事の影響で朝6時まで通行止めになっていたので、ナビは名神高速を選択していました。 それが幸いし、ノロノロ走っていると桂川PAに立ち寄ることに成功。 (実は6時を過ぎており、京滋バイパスを通ることはできたのですが、不幸中の幸い的な?)

22分充電して、42 [%] → 71 [%] に。 10 [kWh] 位充電できました。これで安心して走れます。

桂川PA西宮名塩SA

桂川PAに滑り込めたはいいものの、その影響か、名神中国道の朝の渋滞に巻き込まれます。
距離はあまり走っていませんが、このあたりはこまめに止まっておかないと、充電スポットのあるSA/PA間の距離が長いため、やむなく停車。

25分充電して、52 [%] → 78 [%] に。 10 [kWh] 位充電。
ここまではそれでも28 [kWh/h] で受電していたのですが、ついに 24 [kWh/h] までしか伸びなくなりました。

西宮名塩SA 〜 福石PA

中国道から山陽道へ。この区間を走っているときが一番眠かった記憶です。
プロパイロットを有効にし体力セーブを試みるものの、余計眠くなるので、オフにして身を奮い立たせることに。

30分フルに充電して、27 [%] → 64 [%] に。 13 [kWh] 位充電できました。
岡崎SAでは同じ充電時間で19 [kWh] 入ったので、疲れも相まって、あまりの入らなさに不安と焦りが増大していきます。
353 [V] / 65 [A] = 22 [kWh/h] 程度で受電開始していたので、ましなほうだったのですが。

福石PA 〜 豊浜SA

長かった山陽道を抜け、瀬戸中央自動車道を経て高松道へ向かいます。 この日は天気もよく、瀬戸大橋を渡るときの爽快感が素晴らしかったです。130 [km] ほど走りました。

一方で、電池はみるみると減っていき、到着時にはなんと 9 [%] しか残らず。
気温も比較的上がっていたため、バッテリー温度は10セグのまま下がりません(涙)

30分フルに充電しても 7 [kWh] 位しか充電されず、四国山地を超えるには心もとない残量です。
(充電待ちの人もいなかったので)やむを得ずおかわり充電をし、合計45分で 11 [kWh] ほど充電。

f:id:yviscuit:20191102120000j:plain
厳しい充電速度

開始直後ですら 343 [V] / 67 [A]、最後は 364 [V] / 48 [A] しか出ていませんでした。14 [kWh/h] 程度の充電速度ですね。 40 [%] まで回復しましたが、まだ 100 [km] 以上走らないといけないので、再び厳しいエコランをはじめます。

豊浜SA 〜 松山IC

険しい四国山地。登りは速度を出さず、下りは可能な限り回生で充電、を繰り返し、延命を図ります。

なんとか走り切ることができ、到着時には再び 9 [%] でした。

復路に向けた回復充電

所用をこなし、その日はホテルに宿泊しました。

近所に偶然三菱のディーラーがあったので、そこで充電させていただくことに。
急速充電器のみ稼働でしたが、時間制限も設定されていなかったので、100%までフル充電させていただきました。

往路の感想

前半戦、往路 850 [km] 走り切った感想です。

よくリーフ乗り(あるいはステマ族)の方々がおっしゃっている「長距離ドライブ時の充電時間は、どうせ休憩をするので(ガソリン車と比べて)気にならない」旨の内容ですが、これはある意味途中までは事実だと思いました。

今回、充電の際に御手洗いや飲み物の買い出しなどをしていたところ、混雑などもあって、15〜20分という時間は普通に掛かっていました。
湾岸ミッドナイトの1コマに「多少の速度差は5分の休憩で相殺ですからね」というセリフがありますが、ZEVでも充電速度が出ているうちは、休憩時間に充電すればいいというのは事実だと実感しました。

togetter.com

3回目... 岡崎SAでの急速充電くらいまでは、ある程度の充電速度も出ていましたし、4回目の土山SAで充電速度が落ちたとはいえ、走り続けるには十分な量を充電できたと思います。
1回の連続走行距離が、500km以内であれば、リーフ(40kWh)でも十分出かけられると思います。

一方で、急速充電が重なって、充電が出来なくなってくる......今回で言えば、西宮名塩SAを超えたあたりからでしょうか......では、リーフはロングランには使えないという感想に変わってきました。
30分の充電で、走ってきた分を賄えなくなってくるわけなので、充電時間を伸ばすか、こまめに充電するしか選択肢がないわけです。
このあたりは、冷却機構を持たないリーフの限界だと思います。そうなると、休憩時間で充電というのは理想論でしかないわけです。

e+ にすれば、容量が増えて充電回数が減る + 発熱が分散されるということから、もう少し距離は伸びるのかもしれません。
とりあえず前半の感想は、「1日 500km 走行ならリーフでも行ける」でした。

あとは、急速充電器の故障も検討しておかなければならない、というの学びでした。
一応、次のSAまで走れるように計画はしていたものの、中国道より西側はそもそもSAの間隔が長く、どこか1箇所でも故障していたら下道に降りざるを得ない(というか、降りても最悪充電スポットにたどり着けない可能性すらある)というのは、冷静に考えるとまだまだリスキーな状態だと思います。

長くなってきたので残りは後編に回します。
こんな記事を書いていたら、ZESP2 が廃止され、改悪版の ZESP3 に切り替わるそうです。これについても後編でまた書ければいいかなと思います。

それでは。