日産リーフは長距離ドライブに耐えられるのか?(1,700km の旅・後編)

やる気が起きずに約4ヶ月寝かしました。ごめんなさい。

前回の記事の続きです。

復路の充電計画

復路は往路の結果を元に、適当に走ろうと思ってました。
往路の電費は大体 6.5 [km/kWh] だったので、同じで計算すると、以下のような計画になりました。

雑なこの計画でスタートしました。

出発 〜 豊浜SA

出発後、いきなり渋滞に巻き込まれます。
松山外環状道路だったと思うのですが、ここで10〜20分くらいロスした気がします。

渋滞には強いEVですが、そうは言っても電費的にはいきなりハンデを負ってしまいました。

100 [km] 強走って 53 [%] 残して到着。表示上の電費は 6.7 [km/kWh] でした。
22分充電して 85 [%] まで回復です。

豊浜SA 〜 吉備SA

瀬戸大橋を含む区間で、そこそこ風もありましたが快調に走っていました。
88 [km] ほどしか走っておらず、もう少し行けそうではありましたが、予定通り立ち寄ることに。

充電器1台に対して、前方に1台充電中 + 1台待機中という状態で、長時間の休憩となりました。
ちなみに、3台ともリーフ(ZE1)という光景で、ちょっと面白かったです。

充電待機中、ひとつ前のオーナーさんとリーフについて少し雑談をしました。
NISMO モデルのオーナーさんで、和歌山から四国に来られていた様でした。
あまりバッテリー温度とかは気にしてないとおっしゃってた記憶です。

30分フルに充電し、43 [%] → 84 [%] まで回復して次のチェックポイントへ。

吉備SA 〜 権現湖PA

吉備SAから 100 [km] 少々、権現湖PA で充電です。
28分充電して、40 [%] → 83 [%] まで回復。

この辺りまでは順調に充電していたので油断していましたが、充電を打ち切る頃には電池温度が10セグに到達し、赤くなっていました。

権現湖PA 〜 宝塚北SA

新名神経由の方が空いてそうだったので、ここで進路を変えて、新名神へ進むことにしました。

前回の充電から30分、45 [km] くらいですが、休憩と情報収集を兼ねて充電開始。
60 [%] → 86 [%] へと回復して、再びスタートです。

宝塚北SA 〜 土山SA

新名神を抜けた後、京滋バイパスを経由して土山SAへ。1時間半ほど走り続けました。
110 [km] 弱なので、距離は思ったほど走ってないのですが、やはり京都を通るので、多少の渋滞とアップダウンの多さで、速度はあまり出てなかったようですね。

30分フルに充電し、41 [%] → 78[%] まで回復。少しペースは落ちてきていますが、まだ何とかやっていける範囲です。

土山SA → 岡崎SA

1時間10分ほどで、次の岡崎に着きました。
行きと違って、新名神亀山西〜新四日市経由で走りました。
下り坂が多くて電費に貢献・・・と思ったのですが、思ったほどは効果なし。

ここでも30分フルに充電し、39 [%] → 75[%] まで回復。
そういえば岡崎だけ充電器のメーカーが違うんですよね。何故なのか・・・

岡崎SA 〜 静岡SA

1時間15分ほどで次のスポット、静岡です。
この区間は意外とアップダウンが激しいのか、到着時 18 [%] までバッテリーが減ってました。
電池温度も、宝塚北SA を出てから 9セグまで下がっていたのですが、ここにきてまた10セグまで上昇。

夜ご飯休憩をここで取りました。この時点で既に 21時を回っているという悲惨な現実。
ここでは1回のおかわりをして、42分充電。
18 [%] → 65 [%] までしか回復できずに、次のチェックポイントへ進みます。

静岡SA 〜 駿河湾沼津SA

40分ほどしか走っていませんが、充電量が心許なくなっていたので駿河湾沼津SAに流れ込みました。

20分充電して 36 [%] → 54[%]。
電池温度も下がっておらず、充電速度もピーク時の半分近くまで落ち込んでいます・・・。
不安を感じつつも、夜の道を急ぎます。

駿河湾沼津SA 〜 海老名SA

長い静岡を駆け抜けて、日付が変わる目前に神奈川県まで戻ってきました。
海老名SAに入った時点で残り 19 [%]。
ぎりぎりいける?いけない?というレベルで、恐怖心が勝ち充電していくことに。

20分ほどで 19 [%] → 45 [%] まで充電。これだけあれば安心して帰ることができます。
夜中の海老名SAは静かでしたね。

海老名SA 〜 返却まで

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帰着時のメーター

(帰着時のメーター。最終的に 6.8 [km/kWh] 表示でした。)

日付を回ってからも黙々と東名、首都高を走り抜け、15 [%] ほどの残量を残して返却しました。
出発から約16時間、850 [km] の長旅、お疲れ様でした。

総合記録

前編から合わせて、約 1,700 [km] の旅における充電は、以下のような記録となりました。

  • 総充電回数: 19回
  • 充電時間: 7時間41分 (461分) + 約130分 (往路到着後のフル充電・正確な時間は未測定)

電費は、往路が 6.5 [km/kWh]、復路が 6.1 [km/kWh] でした。

ガソリン車との経済性比較

ZESP2 であれば、旅ホーダイだったので、このような苦労は安さの代償として割り切れましたが、ZESP3ではそうも言ってられません。
では、このような旅をした場合、EVとガソリン車どちらがお得だったのでしょうか?

ZESP3 を使った場合のリーフの電気代

ZESP3 では、10分で1回という計算となるため、今回の充電回数は51 + 13 = 64回 です。
プランごとに以下の価格になります。

  • プレミアム10: 2500 + (64 - 10) * 350 = \21,400
  • プレミアム20: 4500 + (64 - 20) * 300 = \17,700
  • プレミアム40: 8500 + (64 - 40) * 250 = \14,500

ガソリン車で同じ距離を走った場合の燃料代

ガソリン車で同じ距離を走った場合の試算もしてみましょう。

私が同じように長距離走ったことのある車種の燃費実績を使って比較してみます。
燃料代は、レギュラーガソリン \138 / 1L と仮定します。

新型カローラ (1.8Lガソリン) に乗った時の平均燃費は 17.8 [km/L] でした。
今回の距離に当てはめると、必要なガソリンは 96.9 [L] となり、燃料代は \13,372 となります。

ノート e-Powerに乗った時の平均燃費は 20.4 [km/L] でした。
今回の距離に当てはめると、必要なガソリンは 84.6 [L] となり、燃料代は \11,675 となります。

どちらの車両も車格がリーフより多少下となるため、直接比較するのは酷かもしれませんが、それでもリーフの方が高いという試算になります。
もう少し燃費の悪い車と比べると、互角になってくるかもしれません。

ただ、ガソリン車であれば給油にかかる時間は数分です。
この程度の距離であれば3回の給油で達成できるため、給油でのロスタイムは10〜20分でしょう。
今回の移動では、10時間近く充電に使ったため、そこは大きな差になると思います。

まとめ

リーフで 1泊3日、1,700 km強を旅してきました。
ほとんど移動し続けるという過酷な使い方ではありましたが、使い込むことで見えてくることも多くありました。
個人的には以下のような感想を抱きました。

電池と充電

  • EV の充電待ちは、1日3回くらいまで = 1日500[km] 未満程度の走行であれば、休憩時間と重ねることができるため比較的許容範囲(東京〜大阪の片道くらい)
  • それを超える回数になると、充電時間がロスタイムとして響いてくる上に、発熱で充電できなくなってくるため、まだEV(リーフ)は向かない
  • バッテリー冷却機構のあるテスラなどであれば、また違ったのかもしれない
  • 長距離を 走るのであれば、電気代は決して経済的ではない (ZESP2を除く)。月額制なので仕方ないが、プランが月中に変えられないのは痛いような。
  • 逆に、自宅が一戸建てで200V充電を活用できたりする環境で、中距離までの移動が主体であれば、比較的経済的に使えるかもしれない

走り・乗り心地

  • EV の走りはおもしろい。トルクがあるので加速も鋭いし、低〜中速域では乗っていてとても静か
  • ただし高速道路では、ロードノイズは並に感じるので、ガソリン車に比べて特別静かというわけではない

今回の旅で、リーフについて言われている良い点・課題をどちらも体感することができたと思います。
特に電池問題は、肯定派・否定派どちらの意見もシーンにおいては正しいことを実感できました。

EVはあくまでEVであり、ガソリン車と同じように扱うと不満がいろいろあるのは事実です。
急速充電スポットはまだまだ少ないですし、あっても1台分しかなかったりと、長距離利用においては、難は多いです。
一方で、自宅での200V充電を基本とすれば、これほど楽な使い方もないだろうとも思いました。

EV車(リーフ)を選ぶか、ガソリン車を選ぶかは、

  • EV が自分のライフスタイルに合うか(自宅に駐車場があり、充電設備を設置出来るか。長距離はあまり走らず、走っても数回の急速充電で賄える距離か。)
  • ガソリン車にはない走りの魅力を感じるか

といったあたりが境目ではないでしょうか。
i-MIEV が目指していたお買い物車のような立ち位置が、これらが問題とならない最適なポジションのはずなのですが、EVは製造コスト(主にバッテリー)が高いという問題があります。
サブスクリプション販売していくなど、売り方自体を変えていかなければ、EVが趣味の世界(走りの面白さや、環境に優しそうという自己満足)から、実用の世界に転換するのは難しいのではないか、と感じました。

それではまた。